

依頼人
先生、今日は少し奇妙な「仮定の話」を聞いていただきたいのですが。

弁護士AI
ええ、構いませんよ。ここは架空法律相談室ですから。
どのような事例でしょうか?
どのような事例でしょうか?

依頼人
ある少年が、古い蔵で碁盤を見つけたとします。
その碁盤には平安時代の天才棋士の霊が宿っていて、少年にしか聞こえない声で「次の一手」を指示してくれる。
少年は囲碁の素人ですが、その霊の指示通りに石を置くことで、並み居る強豪を倒し、プロの座に就き、多額の対局料や賞金を得るようになりました。
近年、将棋界などではAIソフトを使ったカンニングが厳格に禁止されていますが、この「霊魂による助言」を受けた場合、法的には「詐欺罪」などの罪に問われるのでしょうか?
その碁盤には平安時代の天才棋士の霊が宿っていて、少年にしか聞こえない声で「次の一手」を指示してくれる。
少年は囲碁の素人ですが、その霊の指示通りに石を置くことで、並み居る強豪を倒し、プロの座に就き、多額の対局料や賞金を得るようになりました。
近年、将棋界などではAIソフトを使ったカンニングが厳格に禁止されていますが、この「霊魂による助言」を受けた場合、法的には「詐欺罪」などの罪に問われるのでしょうか?

弁護士AI
なるほど……。非常に興味深い事例ですね。
結論から申し上げますと、「刑法上の犯罪(詐欺罪や偽計業務妨害罪)を成立させることは、極めて困難」であると考えられます。
結論から申し上げますと、「刑法上の犯罪(詐欺罪や偽計業務妨害罪)を成立させることは、極めて困難」であると考えられます。

依頼人
それは意外ですね。
対戦相手は「少年の実力だ」と信じて対局料を支払っているわけですし、実態は「替え玉受験」のようなものでしょう?
相手を欺いていることにはなりませんか?
対戦相手は「少年の実力だ」と信じて対局料を支払っているわけですし、実態は「替え玉受験」のようなものでしょう?
相手を欺いていることにはなりませんか?

弁護士AI
おっしゃる通り、倫理的には完全にアウトです。しかし、刑法で裁くには「罪刑法定主義」という高い壁があります。
まず、詐欺罪(刑法246条)が成立するには、相手を「欺罔(ぎもう=騙すこと)」し、それによって相手が「錯誤(勘違い)」に陥り、財物を交付する必要があります。
ここでの争点は、「霊の指示に従って石を置く行為が、法律上の『欺罔』にあたるか?」です。
まず、詐欺罪(刑法246条)が成立するには、相手を「欺罔(ぎもう=騙すこと)」し、それによって相手が「錯誤(勘違い)」に陥り、財物を交付する必要があります。
ここでの争点は、「霊の指示に従って石を置く行為が、法律上の『欺罔』にあたるか?」です。

依頼人
「自分の実力です」という顔をして打っていれば、それは騙していることになるのでは?

弁護士AI
いいえ、それだけでは弱いです。
囲碁や将棋の対局において、棋士は「自分の脳内だけで思考すること」を明示的に保証しているわけではありません。
例えば、「昨晩夢で見た啓示」や「長年の勘」に従って打つことは許されていますよね。
昨今の規定では「電子機器(スマホやAI)」の使用は明確に禁止されています。
しかし、「霊魂、または守護霊の使用」を禁止する条項が含まれている棋戦規定は、私のデータベースには存在しません。
囲碁や将棋の対局において、棋士は「自分の脳内だけで思考すること」を明示的に保証しているわけではありません。
例えば、「昨晩夢で見た啓示」や「長年の勘」に従って打つことは許されていますよね。
昨今の規定では「電子機器(スマホやAI)」の使用は明確に禁止されています。
しかし、「霊魂、または守護霊の使用」を禁止する条項が含まれている棋戦規定は、私のデータベースには存在しません。

依頼人
なるほど。ルールブックに「幽霊禁止」とは書いていない、と。

弁護士AI
ええ。そして最大の問題は、「立証責任」です。
仮に検察が起訴しようとしても、法廷で「被告人は霊の助言を受けていた」という事実を証明しなければなりません。
しかし、その声は本人にしか聞こえない。
科学的に観測できない以上、裁判官「被告人の脳内で、天才的な閃きが生じた(=それは被告人の実力である)」と認定せざるを得ないのです。
「疑わしきは罰せず」の原則ですね。
仮に検察が起訴しようとしても、法廷で「被告人は霊の助言を受けていた」という事実を証明しなければなりません。
しかし、その声は本人にしか聞こえない。
科学的に観測できない以上、裁判官「被告人の脳内で、天才的な閃きが生じた(=それは被告人の実力である)」と認定せざるを得ないのです。
「疑わしきは罰せず」の原則ですね。

依頼人
法廷に霊媒師を呼ぶわけにもいきませんからね……。
では、彼が罪に問われることは一切ないのですか?
では、彼が罪に問われることは一切ないのですか?

弁護士AI
刑事責任は逃れられても、「民事上の責任」や「社会的制裁」は別問題です。
もし、その少年が自伝などで「実は霊の声を聞いていました」と告白してしまった場合、日本棋院(または主催者)は、「対局の公平性を著しく害した」として、除名処分や賞金の返還請求を行うでしょう。
これは法律違反というより、「契約違反(債務不履行)」の話になります。
もし、その少年が自伝などで「実は霊の声を聞いていました」と告白してしまった場合、日本棋院(または主催者)は、「対局の公平性を著しく害した」として、除名処分や賞金の返還請求を行うでしょう。
これは法律違反というより、「契約違反(債務不履行)」の話になります。

依頼人
契約違反、ですか。

弁護士AI
はい。「プロとしての品位」や「公正な対局義務」に違反した、という理屈です。
ただ、彼が口を噤んでいる限り、誰もその不正(?)を暴くことはできません。
完全犯罪ならぬ、「完全憑依」が成立してしまいますね。
ただ、彼が口を噤んでいる限り、誰もその不正(?)を暴くことはできません。
完全犯罪ならぬ、「完全憑依」が成立してしまいますね。

依頼人
法は沈黙する、というわけですか。
スッキリしました。ありがとうございます。
スッキリしました。ありがとうございます。
今回の相談の元ネタ
作品名:『ヒカルの碁』
作者:原作・ほったゆみ/作画・小畑健(集英社)
作品名:『ヒカルの碁』
作者:原作・ほったゆみ/作画・小畑健(集英社)