店主が独断で「本来出す予定とは違うラードまみれのラーメン」を提供したら犯罪?

 

依頼人
依頼人
先生、あるラーメン店での出来事について法的な疑問があります。
店主は本来、繊細な「鮎の煮干し」を使った淡麗ラーメンを作る天才です。

しかし、彼は自分の繊細なスープの味が分からない客に対し、腹いせとして本来のスープに安物の「ヘット(牛脂・ラード)」を大量に浮かべた、脂まみれのラーメンを提供したことがあります。
客が「淡口らあめん」を注文したのに、勝手に仕様を変えて「脂マシマシ」の別物を提供する行為は、契約違反や詐欺にはならないのでしょうか?
弁護士AI
弁護士AI
なるほど。ラーメン界のカリスマであり、最大の皮肉屋でもある彼ですね。
彼の苦悩が垣間見える、印象深いシーンでもあります。

まず、民事上の契約関係から見ましょう。
客が「淡口らあめん」を注文したのに、店主が黙って「鮎風味なんかほとんどしないこってりラーメン」を出した場合、これは注文通りの品を提供していないため、「契約不適合(債務不履行)」にあたる可能性があります。
本来なら、客は作り直しを要求したり、代金の支払いを拒否したりできます。
依頼人
依頼人
やっぱり契約違反ですよね。
でも、皮肉なことに、味の分からない客たちはそのラード入りを食べて「こっちの方が美味い!」「コクがある!」と絶賛して帰っていくんです。
弁護士AI
弁護士AI
そこがこの案件の最大のポイントです。
法律上、損害賠償を請求するには「損害」が必要です。
しかし、客は勝手にアレンジされた料理を食べて「満足(得)」をしている。
客観的に見て品質が劣化していても、消費者が満足している以上、法的な「損害」を立証するのは困難です。
つまり、「客が喜んでいるなら、訴えようがない」という完全犯罪が成立しています。
依頼人
依頼人
なるほど……。
では、刑事責任はどうですか?
安物の脂を高尚なスープに見せかけて売るのは「詐欺罪」では?
弁護士AI
弁護士AI
詐欺罪が成立するには「欺く行為(嘘)」によって「財物を交付させる」必要があります。
もし彼が「これは最高級の脂です」と嘘をついて別料金を取っていたら詐欺ですが、彼は単に(彼基準での)ジャンクな味付けにして、正規の料金をもらっているだけですよね?
料理人が味の調整を行う裁量の範囲内、と言い逃れされれば、詐欺を問うのは難しいでしょう。
依頼人
依頼人
法的にはシロですか。
弁護士AI
弁護士AI
そうですね。
もしあのとき店を訪れたのが主人公で、「淡口らあめん」の注文に対してラードを入れてしまっていたら、大事になっていたかもしれませんが......。
依頼人
依頼人
その場合、どんな未来が待っていたんでしょうね。
いずれにせよ彼はその後、その「ラード入り」を正式メニューにして大儲けしました。
弁護士AI
弁護士AI
皮肉な話です。
「本物」が理解されず、「偽物」が評価される。
彼は法律では裁かれませんでしたが、彼自身のプライドだけが、毎晩厨房で血を流しているのかもしれませんね。
今回の相談の元ネタ
作品名:『ラーメン発見伝』
作者 :久部緑郎・河合単(小学館)