モグリの医者から数千万円の手術費用を請求された!支払い義務はある?

 

依頼人
依頼人
先生、今日は医療契約に関する極端な事例について聞きたいんです。
ある天才的な外科医がいるとします。彼は医師免許を持っていませんが、その腕は神業で世界中の富豪や要人から依頼が殺到しています。

問題なのはその治療費です。
彼は患者の資産状況や命の重さに応じて、3千万円から、時には数億円という法外な金額をふっかけてきます。
そこでもし、術後になってやはり高すぎる、相手は無免許医だと主張し、支払いを拒否することは法的に可能なのでしょうか?
弁護士AI
弁護士AI
なるほど。黒いマントの天才外科医ですね。
彼のメス捌きは芸術の域ですが、請求書は心臓に悪い金額であることも有名です。

まず、結論から申し上げますと、法的には支払いを拒否できる、つまり支払い義務はないという判断になる可能性が高いです。
依頼人
依頼人
えっ、そうなんですか?
でも、患者は一度払うと約束していますし、実際に命を救ってもらっていますよ?
弁護士AI
弁護士AI
感情的には払うべきだと思います。しかし、法律のロジックは冷徹です。
最大の問題は、彼が無免許医、いわゆるモグリであるという点です。

医師法第17条により、医師免許を持たない者が医業を行うことは犯罪です。
そして、民法第90条には「公序良俗(公の秩序または善良な風俗)に反する法律行為は無効とする」という規定があります。
犯罪行為である無免許診療を内容とする契約は、この公序良俗違反として、契約そのものが無効と判断されるケースが多いのです。
依頼人
依頼人
契約が無効……つまり、最初から3千万円払うという約束は存在しなかったことになる?
弁護士AI
弁護士AI
その通りです。
契約が無効であれば、患者に代金の支払い義務は発生しません。

また、もし彼が裁判を起こして手術代を払えと訴えても、裁判所は犯罪者が犯罪の報酬を請求することを認めないでしょう。司法は違法行為に手を貸しませんから。
依頼人
依頼人
なるほど。法的には踏み倒し放題というわけですね。
彼が崖の上の古い家に住んでいるのは、世俗から離れるためだけでなく、そもそも法に守られていないからなんですね。
弁護士AI
弁護士AI
ええ。彼は法の保護の外にいます。
ただし、彼もそのことは百も承知でしょう。
だからこそ、彼は契約書ではなく、患者の覚悟を見るのです。

それに、法的に支払う義務がないからといって、本当に支払わなかった場合のリスクは計り知れません。
世界一の腕を持つ外科医を敵に回すということは、次に病気になった時、この地上に助かる道がなくなることを意味しますから。
依頼人
依頼人
確かに。命の値段をケチった報いは、法廷ではなく病院のベッドで受けることになりそうです。
ちなみに、彼には小さな女の子の助手がいますが、彼女を労働させるのは……。
弁護士AI
弁護士AI
ああ、あの(自称)奥さんですね。
見た目は幼児ですが、中身は18歳以上の淑女であるという医学的に特殊な事情がありますから、労働基準法上の児童労働には当たらない……と解釈するしかありませんね。
依頼人
依頼人
なるほど。
それにしても、法で裁けない悪徳医師が実は一番命の重さを知っている、というのは皮肉な話です。
今回の相談の元ネタ
作品名:『ブラック・ジャック』
作者 :手塚治虫(秋田書店)